沖縄伝承話データベース

沖縄伝承話データベースとは


琉球王朝の以来の豊かな歴史と文化を伝える沖縄の伝承の記録は、柳田國男、折口信夫等の主導のもとで行われてきましたが、1960年代以降はテープレコーダを利用した音声データ記録が一般化しました。

特に沖縄国際大学の故遠藤庄治教授の指導のもとに行われた聞き取り調査は、沖縄全域にわたる約73000件の記録を残しました。 この記録は、カセットテープとカードによって整理され沖縄伝承話資料センターに保存されていますが、時とともに劣化する運命にあります。

私たちは、平成19年度から24年度までを第一期として、日本学術振興会の研究助成を得て、劣化の可能性の高い約33000件のデータをデジタル化して喪失を防ぎ、さらにデータベース化して、沖縄県立博物館・美術館に移管してきましたが、なお沖縄本島北部や宮古、八重山の重要な地域の記録が欠落しています。

平成29年度からは、この欠落を補い、沖縄全域の口頭伝承資料を網羅したデータベース作成することを目的として、第二期の事業に着手しています。 沖縄においては、近年「しまくとぅば(沖縄言葉)」が急速に失われつつあり、喪失の危機が顕在化しています。 沖縄全地域の口頭伝承を「しまくとぅば」と共通語で記録した本記録は、今後二度と繰り返すことのできない調査の成果であり、沖縄のみならず日本の貴重な文化遺産です。 第一期にデジタル化され移管された33000件のデータは、沖縄県立博物館・美術館館のデジタルミュージアム計画に活用されていますが、平成29年度末にはさらに6000件が提供される予定です。 しかしまだ約34000件の資料が残されています。

私たちは、この資料がデジタル化され、データベースとして沖縄県立博物館・美術館館のみならず、全国各地の博物館、民俗・歴史資料館、大学等の研究教育機関、図書館、公民館等に提供され、さらにインターネットを通じて公開されれば、沖縄言語文化の保存と普及に寄与することを願っています。

みなさんの参加をお待ちしています。どうぞ、ご意見をお寄せください。

沖縄伝承話データベースについて

各項目をクリックすると、詳細が表示されます。

平成29年度の研究計画の概要

NPO法人沖縄伝承話資料センターが管理する、故遠藤庄治の主導のもとに調査された沖縄全域にわたる神話、伝説、昔話、世間話、民謡、民俗信仰など多岐にわたる約40000件の口頭伝承資料をデジタル化し、さらに話者、地域、記録者、記録日時・場所、話型、キーワードなどの32項目によって検索可能なデータベースを作成する。

現在、センターが管理するアナログデータ件数は73000件あまりで、平成19年度から5年間、日本学術振興会の助成のもとに、劣化の懸念される1990年代以前の調査データ約33000件が優先的にデジタルデータ化され、県立博物館・美術館に提供された。しかし残された40000件あまりのデータも、カセットテープを記録媒体としているため、劣化の懸念されるものが少なくない。また、現行のデータベースには地域的な空白が多く見られ、大きな問題を残している。特に、今帰仁村、本部町、名護市、金武町などの本島北部、上野村、下地町などの宮古地域、小浜島、波照間島などの八重山諸島のデータに未達成の空白が多くみられる。

平成29年度は、こうした現状を踏まえて、下の7つの事業を展開する。

① 沖縄本島のうち、名護市を中心とした北部地区5000件、沖縄市を中心とした中部地区1500件、東風平町を中心とした南部地域1500件、宮古・八重山地区のうち、下地町、小浜島を中心に1500件の計8000件のデータをデジタル化し、データベースを作成する。

② デジタル化されたデータのうち、公開許可の得られたものをホームページ上で公開する。公開に際しては、ウインドウズ10やタブレットのタッチパネル機能に配慮し、地図やアイコンを利用した検索機能を充実させる。ホームページの多言語化を促進し、英語、韓国語、フランス語、ドイツ語に加え中国語のホームページを作成し、地図を利用した視覚的なアプローチを強化する。

③ デジタル化を完了した資料を、順次、沖縄県立博物館・美術館に提供し、同館のデジタルミュージアム計画に資料を提供する。

④ 沖縄県の「しまくとぅば」普及推進計画に協力し、デジタルアーカイヴ計画を推進する民間組織(シネマ沖縄など)に、「しまくとぅば」普及の基礎となる語りによる言語文化資料を提供する。

⑤ 子ども時代に昔話を聞いた経験は乏しいが、子育てなどを通じて「しまくとぅば」伝承の重要性に気付いた「新しい世代の語り手」を支援し、彼らの語りに「しまくとぅば」の資料を提供する。また、「しまくとぅば」普及の活動をSNSやホームページを通じて紹介し、沖縄の言語文化の継承を支援する。

⑥ 本委員会の使用規約を遵守し、所定の条件を満たす研究者や教育者、研究教育機関に、「沖縄伝承話データベース」を、CD-ROMやUSB等を利用して配布し、沖縄口承文芸の研究と教育に寄与する。

⑦ 日本と同じく民話(口碑文学)のデータベース化を推進する韓国の韓国学中央研究院や中国社会科学院と情報を交換し、東アジアにおける口頭伝承の国際比較研究協力を推進する。

                                               

平成30年度以降は、沖縄本島、宮古、八重山のみならず、伊江島、座間味、渡名喜などの離島を含めたデジタル化とデータベース化の未達成地域の欠落を満たし、沖縄全地域をカバーする口頭伝承と「しまくとぅば」のデジタル・アーカイヴを完成する。

        

沖縄伝承話データベース作成委員会 スタッフ

氏名 所属機関など(専攻分野) 役割分担
比嘉久 名護市教育委員会名護博物館長(民俗学・口承文芸学) 総括・データ選定・システム設計・画像処理
常光徹 国立歴史民俗博物館名誉教授(民俗学・口承文芸学) 監修・データ選定・校正
照屋寛信 NPO法人沖縄伝承話資料センター理事長(口承文芸学) 監修・データ選定
山口真也 沖縄国際大学総合文化学部教授(図書館情報学) 監修・データ選定
西岡敏 沖縄国際大学総合文化学部教授(琉球方言学) 監修・データ選定
大湾ゆかり 沖縄県立博物館・美術館 主任学芸員(民俗学・口承文芸学) 監修・データ選定
加治工尚子 岐阜女子大学文化創造学部講師(口承文芸学) 監修・データ選定
村山友江 読谷夕顔の会事務局長(口承文芸学) 監修・データ選定・校正
岩倉千春 日本民話の会運営委員(比較民俗学・口承文芸学) 監修・データ選定・校正

沖縄伝承話データベースの利用規定

  • (1) 沖縄伝承話データベース作成委員会(以下、委員会といいます)の作成した沖縄伝承話データベース(以下、データベースといいます)に収められたデータの二次使用は、教育等の公共目的にかぎられます。
  • (2) データベースに収められたデータの著作権は、個別には語り手と聞き手(記録者)および記録者の所属組織に存します。
  • (3) 委員会は、当該著作権者の了解の下に、著作権保護上必要な管理業務を行いますが、当該業務からの仲介手数料等の料金が発生することはありません。
  • (4) 委員会によって公開されたデータの二次使用を希望する場合には以上3点を了解のうえ、委員会に許可を求めてください。委員会は、本データベースの使用が、教育など公共目的に合致すると判断される場合、しかも当該利用が語り手、記録者、記録者の所属組織のプライバシーに抵触しないと判断した場合には、すみやかに使用許可を与えます。
  • (5) データベースのデータを委員会の許可をなく使用し、著作権法上の違法行為を行った場合、責任は当該違法利用者にあります。
  • (6) データベースのデータを委員会の許可を得て使用しながら、CD-ROMの作成などを通じて、教育以外の目的に使用し、著作権法上の違法行為が行われた場合、責任は当該違法利用者にあります。
  • (7)データベースのデータを委員会の許可をなく使用し、語り手、聞き手、地域の人々などのプライバシーに関する保護義務を怠った場合、責任は当該違法利用者にあります。
  • (8)データベースのデータを委員会の許可を得て使用しながら、語り手、聞き手、地域の人々などのプライバシーに関する保護義務を怠った場合、責任は当該違法利用者にあります。